さんみりぼうず

作れるものをつくってみる。ブログ

長編小説をかいてみた(120000文字までちょっとづつ書いていくスタイル)

ときは西暦4649年。
いずれ地球は太陽に飲み込まれると理科の先生に教えられたが
残念ながら地球は今も健在である。
なぜ残念なのかと言えば僕は地球がいずれ太陽に飲み込まれるということ前提に人生設計を立てていたからだ。


僕の名前はケン
西暦4629年生まれの20歳
両親は3歳の頃に夜釣りに行ったまま帰って来なかった
机には「カジキマグロを釣ってくるから米を炊いとけ」とパパの汚い文字で殴り書きされていた
一年後に気がついたがそのとなりに控えめに小さく「ファイト一発」とママの綺麗な文字で書かれていた
今でもこの手紙を僕は大事にもっている

両親がいなくなったあと僕は家賃を払えず大家さんに追い出された
ペタペタと消えかかった白線の上を歩いていると誰かに声をかけられた

「僕ひとり?」

振り返るとそこにはお世辞にも綺麗とは言えない40歳くらいのおばさんが立っていた
僕はおばさんに連れられて「スナック 筋膜リリース」へと向かった

店につくとおばさんは朝からずっと煮込んでいたという
鶏ガラベースの透き通ったスープの塩ラーメンを食べさせてくれた
正直に言うと味は100点満点中54点だったけど
僕は満面の笑みで「こんなに美味しい塩ラーメンは食べたことがないと言った」
僕は自分の印象を良くするために生まれて初めて嘘をついたからか涙が止まらなかった

そんな僕をみておばさんは泣くほどうまいなら
このラーメンをスナックの看板メニューにしようかしらなんて言っていた
このままではまずいラーメンを出して店が潰れてしまうと思い
「ごめんなさい!さっきうまいって言ったのは嘘です!本当はまずいです!」と言った
するとおばさんは大きな声で「出て行けこのガキ!」と言って僕を外に放り出した

お世辞を言えば喜ばれるが胸が苦しくなる
本当のことを言えば嫌われるが胸は苦しくない
僕は何が正しいのかを考えながらまた白線の上を歩いていた


電気屋の前を通りかかるとテレビがついていた
テレビでは谷間を強調したニュースキャスターがニュースを読んでいる
僕は谷間が気になってニュースが入ってこないことに気がついた
対策を考えて目を閉じてニュースだけを聞いてみたら現場の写真などが見えずいまいちニュースが理解できない
ということで目は開けるがより目にして画面を見ながらニュースを聞くというスタイルに落ち着いた

ニュースではこれからの人類の未来について討論が行われていた
科学者とか政治家とか哲学者とか頭の良さそうな人がたくさんいるのに
何1つ良い解決法を見つけられずにいた

2100年地球の資源は尽き人類は火星へ移住しようとしていた
しかし火星に行ける人間は地球人口100億人のうちたった1000人だけだった
そしてどうやってその1000人を選ぶかを決めるために
196の国のトップが全員集まる首脳会議G196が開催されるわけだが
どこの国も自分の国で開催したいと主張し開催場所が決まらず2200年になってしまった

幸か不幸か、この100年のあいだに戦争が起こり地球上には日本、アメリカ、中国の3つの国だけが残ったのだった
西暦2200年、日本、アメリカ、中国のトップが集まる会議が開かれた
開催場所で揉めないようにホログラムを使い電子空間で行われた
話し合いの結果、火星に行けるのは日本333人、アメリカ333人、中国333人、猫1匹となった
なぜ1000人ではなく999人かと言うと残りの1人を決めるために戦争になりそうだったからだ

ではなぜ犬ではなく猫かといえば猫を見ているとなんか色々とどうでもよくなるからだ
火星に行けば最初は色々と問題もたくさん起きて他国とギスギスするだろうから
そんなとき猫をみてボーっとして一回落ち着こうという効果が狙いだった

西暦2201年
ようやく各国で333人のメンバーを選び始めた
科学者、哲学者、芸術家、スポーツ選手、音楽家、弁護士、大工、プロゲーマー、ニートなど様々な職業の優秀な人間を集めた

西暦2202年
人間999人猫1匹すべてが決まり宇宙船に乗り込んだ
宇宙船は勢いよく飛んでいき火星へとたどり着いた

火星につくとそこにはすでに先客がいた
見た目は地球人そっくりだったが何か違和感を感じる
話しかけると彼らは100年前に40億光年のはるか遠くから
火星に移住してきたハジメチョロチョロナカパッパ星人だという

ハジメチョロチョロナカパッパ星も地球と同じように
欲望のままに資源を使い果たし住めなくなり火星に移住したという
はじめは1000人で火星に来たが事故、殺人、自殺で今は10人しかいないという

地球人たちはひとまず宇宙船で待機し
ハジメチョロチョロナカパッパ星人の長老と話をすることにした
地球人代表はアメリカのガイルが行った

ガイル「長老、我々地球人は火星で暮らす!一緒に住もうぜ!
長老「いやだ。人が多すぎるから無理。おれ人見知りだし。」
ガイル「あ、大丈夫。火星につくまでに船内で内戦があって今10人しかいないから」
長老「えっ?そうなの?まあ10人ならいいよ。」
ガイル「マジで?ありがとう!じゃあいまからみんな連れてくるな」


生き残った地球人はわずか10人だった
アメリカ出身 / ボブ / 30才 / 男/ ニート
アメリカ出身 / ガイル / 30才 / 男/ SWAT 
アメリカ出身/ ステファニー/ 23才/ 女/ Webデザイナー 
中国出身/ ユー・チン・リー/ 23才/ 女/ 図書館司書 
中国出身/ レッドス・リー/ 23才/ 男/ ギャンブラー
中国出身/ ワン・ウェイ・ウェイ/ 30才/ 男/ 高級官僚
日本出身/ 剛田強/ 22才/ 男/ パティシエ
日本出身/ 小早川今日子/ 28才/ 女/ 黒術師
日本出身/ 小早川明日子/ 28才/ 女/ 詐欺師
日本出身/ 石田光一/ 22才/ 男/ 大工


一通り挨拶をすませ地球人は
ハジメチョロチョロナカパッパ星人の村の隣に村を作ることになった
宇宙船から使えそうなパーツを取りながらなんとか村を作ることに成功した
3年分の食料と水は船にあるためそんなに焦ってはいなかったが
先のことを考えて作る方法を考えることにした

ガイル「長老、食べ物と水はどうしてるんですか?」
長老「最初のうちは腹が減って共食いでなんとかやっていた」
ガイル「あ、だから10人になっちゃんたんですか?」
長老「そうそう。本当は事故、殺人、自殺じゃなくて食っちゃったのよ。でも本当のこと言ったら引くでしょ。だからさっき嘘ついたの、ごめんね。」
ガイル「僕は素直な人が好きなので許します。ではそのあとはどうしたんですか?」
長老「まあ腐っても俺たちはハジメチョロチョロナカパッパ星人だ。いくらなんでも仲間を食ってまで生きるなんてどうかしてるんじゃないかと我に返ってそれからは空腹を我慢していたんだ。そして空腹のピークを超えたら食わなくても生きれるようになったんだよ。」
ガイル「そんなことがあるんですか?それは進化したということですか?」
長老「そうとしかいいようがないね」
ガイル「では我々地球人もそのスタイルで行ってみます。ありがとうございます。」

ガイルはこのことを地球のみんなに伝えると皆んなは驚いていた
しかし他に方法がないということでやってみることにした
それから1ヶ月後、熾烈な共食いがはじまった
そして生き残ったのはニートのボブだけだった

なぜボブだけが生き残ったのかと言えば
ボブは持ち前のやる気のなさで共食いに参加せず
持ち前の存在感のなさで食われずに済んだ
さらにボブは知らないうちにハジメチョロチョロナカパッパ星人と
同じように何も食わなくても生きて行ける体に進化していた
(※3084文字11/30)
  
しばらくするとハジメチョロチョロナカパッパ星人の長老が訪ねてきた
長老「やっぱり共食いをはじめたか。まあそれが普通だよ。君はなぜ食べなかったんだ?」
ボブ「ぼくベジタリアンなんで。」
長老「なるほどね。それにしてもよく食わなくても生きれる体に進化できたな」
ボブ「ぼく3〜29才までホームレスしてたんで」
長老「なるほどね。よかったらうちの村で一緒にすむ?」
ボブ「ぼく人見知りなんで」
長老「なるほどね。じゃまた」

30分ほどボーッとしたあとボブは突然火星を歩きはじめた
ボブは地球にいることから毎日3時間ほど散歩をする習慣があった
ニートだったがこの習慣だけは毎日欠かすことがなかった

地球にいるときはいつものお気に入りのコースがあった
川沿いを歩きながらゴミを拾いタンポポをみつけたら
ワタの部分を鼻の穴に入れてはクシャミをし「増税反対!」と
大きな声で叫びながらタンポポのタネができるだけ遠くまで行けるように願っていた

そのあとは川に足だけを入れる足湯ならぬ足水をする
これはボブが考えた独自の娯楽で足だけをキンキンに冷やし足の感覚をなくしてから
歩くことでまるで足がなくなり宙に浮き宇宙にいるような感覚になれるというもの
このときからボブは火星に行くことをすでに考えていたのかもしれない

公園のベンチにすわるとたくさんの猫が集まってきた
ボブは猫に一度も餌を与えたことはないがなぜか近くに動物がいつも集まる
そういえば動物が好きな人に悪い人はいないって父さんが言ってな
このときからボブは火星に行くことをすでに考えていたのかもしれない

猫は全部で26匹いた
アルファベットと同じ数だったので名前はA〜Zとつけてやった
しかしある日、隣町からきた猫が一匹増えてアルファベットが足りなくなり
ややこしくなるということで全ての猫を複数形のキャッツと呼ぶことにした

しばらく猫でキンキンに冷えた足を温めたら
丸い回転するジャングルジムへと行く
勢いよく回転させてから飛び乗る
これをインターバルは短めの1分で50セットやる
これはNASAで行われていた宇宙空間でGに耐えられるようにするための訓練と全く同じ方法だった
このときからボブは火星に行くことをすでに考えていたのかもしれない

その後は全身の筋肉を鍛えるトレーニングをざっと行う
ベンチプレス、バタフライ、ケーブルクロスオーバー
ラットプルダウン、サイドレイズ、フロントレイズ、リアレイズ
EZバーバーベルカール、ケーブルプレスダウン、スクワット、デッドリフト
レッグプレス、レッグエクステンション、カーフレイズ、シットアップ

その後は近所の昔からある銭湯にいく
ここでは掃除をする代わりにタダで温泉に入らせてもう契約をしている
初めはなんどもなんども土下座をしてマスターにお願いしたけどダメだったけど
100万円をあげたらと言ったら快くOKをもらった
ニートの僕がどうやって100万円を作り出したのかと言うと
全国の自動販売機の下に手をツッコミ小銭を集めて作りだした
のべ12年と4ヶ月の年月をかけた壮大な旅だった

家に帰ると、家と言ってもホームレスなので
駅前に自分で立てたわずか600坪程度のダンボールの家だった
最初は4畳1間だったが増築に増築を重ねているうちに大きくなっていた
気がついたら駅よりも大きな家になっていた

さすがに一人で600坪の家を管理するのは難しく
家政婦紹介センターから紹介されたフィリピン人の家政婦のガルシアを雇うことにした
ガルシアは3人の子供も持つシングルマザー
子供たちはフィリピンでおじいちゃんとおばあちゃんと暮らしてる
出稼ぎのために単身日本に来たという

家政婦紹介センターへの支払いは毎月1万円
そのうち5000円がセンターへ支払われ5000円がガルシアに支払われる
センターが半分持って行くって取りすぎじゃない?とガルシアに言ったが
ガルシアは5000円ももらえれば私は十分ですと言っていた
この国では力あるものが搾取し力無いものが搾取されるんだと改めて思った

ガルシアの得意料理は以外にも鶏ガラベースの塩ラーメンだった
あまりにも美味しかったので僕はガルシアに店を出すことを進めた
しかしガルシアはこんなの誰でも作れると店なんて無理だと言った
ガルシアは異常なまでに自己評価の低い人間だった

僕はダンボールハウスの一角をラーメン屋へと改造し
ガルシアのラーメン屋「塩ガルシア」をオープンさせた
自信とは小さな成功体験を積み重ねて作るものだ
つまり自信をつけるには挑戦をし続けるしかないのだ

駅前という立地の良さで宣伝はひとつもしなかったが
オープンから行列のできるラーメン屋となった
ガルシアの母親のような母性的で暖かい微笑みと人当たりの良さと
回転率の良い立ち食いスタイルで1杯600円(税込)という良心的な価格設定も功を奏した

ラーメンの一杯の原価は200円
週4日営業で1日50杯、1ヶ月で800杯
月の売上が48万円、粗利は32万
家政婦の仕事をしているときの5倍の収入になった

自信のついたガルシアは
隣町の駅に2号店を出すといいだした
僕は少し早いんじゃないか?と言ったがガルシアは聞かなかった
その後、塩ガルシアは全国350店鋪に増え巨大ラーメンチェーン店となった

しかし駅前に作った初代塩ガルシアだけは売上が大幅に落ち毎月赤字だった
ガルシアが好きで来ていた常連さんは誰も来なくなったのが原因だった
まだ店舗数が全国10店鋪くらいのうちはガルシアも初代に顔を出していたが
全国350店鋪になると本社を東京に移しすっかり顔を店なくなった


それから3年後のことだった
ガルシアの右腕だったマルシアが味を盗み「塩マルシア」をオープンさせた
「塩マルシア」は味こそ「塩ガルシア」とほぼほぼ同じ味だったが
「塩マルシア」が「塩ガルシア」と違ったのはチェーン展開しても
お客さんとの距離の近いアットホーム感を維持し続けたことだった
「塩マルシア」は飛ぶ鳥を落とす勢いで全国400店舗になり
「塩ガルシア」は倒産することになった

コン、コン(ダンボールのドアなので正確にはボン、ボン)
ドアを開けるとそこにはガルシアが涙を流して立っていた
ボブは何もいわず閉店した初代塩ガルシアへ連れていった

ボブは透き通った鶏ガラスープの塩ガルシアらーめんを作った
ガルシアは嗚咽しながらラーメンをすすった
ガルシアは何も言わず600円をカウンターに置き店を出た
店にはいつもガルシアが体臭を消すために多めにつけていた
キンモクセイの香水の匂いがただただ漂っていた
それから風の噂で聞いたがガルシアは塩マルシアでバイトをはじめたらしい
(※5778文字12/1)


ボブは火星を歩きながら考えていた
人間に必要なものは一体なんなのか?
進化により食べ物と水は不要になった
食べる必要がないということは金を稼ぐ必要もない
というよりかそもそも火星にはお金というものが存在していない

ボブは地球ではニートだったが友達のシルベスターもスタローンも
シガニーもウィーバーも食べていくために毎日働いていた
週休2日で残業を合わせて1日12時間は働いていた
シルベスターは冷蔵庫をつくる工場で働いていたが会うたびに
「こんなに冷蔵庫を毎日作って誰が買うんだよ!」とブチギレていた

現に冷蔵庫はすでに世界中の家庭に行き届いていて
もうすでに必要としている人はいなくいくら作っても売れない時代にだった
しかし会社は売り上げを上げなければ潰れてしまう
ということで新しい機能をつけては新商品として売り出すことに必死だった
一番最新の冷蔵庫には太木数子が監修する今日の占いがついていた
シルベスターはそんな現状に文句をいいつつも冷蔵庫を作らなければ
自分も食っていけいないという状況も理解しているがゆえにイラだっていた

そんなイライラがよくない方向へと行ってしまった寒い冬のことだった
酔っ払って勢いよくバーからでたスタローンはパンダのタトゥーの入った男にぶつかってしまった

スタローン「お前どこみてあるいてんだよ!バカヤロウ!」
パンダ刺青男「お前オレが誰かわかってそんな口を聞いているんだろうな」
スタローン「しらねえよ。パンダマンかよ。やるか。」
パンダ刺青男「後悔してもしらねえぞ。お前このパンダのタトゥーは・・・・」
スタローン「バン!バン!バン!バン!バン!」
パンダ刺青男「・・・・・・・・」
スタローン「パンダがなんだっていうんだよバカが」

スタローンは家に帰るとパンダ刺青男の胸ポケットから盗んだ葉巻に火をつけた
30分ほどむせていたがだんだん慣れてきてようやくむせずに吸えるようになった
ソファーに座りながら冷蔵庫を作るときにでるカスのついた革靴を机の上に投げ出し
音だけを消してハリーポッター賢者の石をただただ眺めいていた

部屋の奥のにあるバスルームからは水がこぼれる音がする
バスルームに行くとそこには全裸の女がルンバを踊っていた
スタローンはシャルウィーダンス?と女の手をとり踊り狂った
3時間ほど踊り続けたあとふと鏡をみると
顔にも冷蔵庫を作るときにでるカスがついていることに気がつき鏡を叩き割る
振り返ると女はもうそこにはいなかった
スタローンは幻覚だったのかと落胆していたが下に落ちていた長い髪をみつけ
現実だったのかと安堵したがよくみたら自分の髪の毛だったと気がつき絶望する

絶望とは不思議なもので落ちるとことまで落ちると開き直りがはじまる
開き直るとなにか一次元別の世界へといけた気持ちになる
すこし気持ちの大きくなったスタローンは思い切ってピザを頼むことにした
ローションでふやけた電話帳を開きピザ屋に電話しLサイズのマルゲリータを3枚頼んだ

ピンポーン!ドアを開けるとそこには金髪の80歳ほどの老婆がいた

老婆「ボンジョルノ!ピザ屋ジローラモです。 」
スタローン「ずいぶん遅かったな3時間はたっているぞ」
老婆「すいやせん。先月、免許返納して歩きできたので結構かかりました。足には自信があったんですがね。お詫びに私の乳を揉ませてあげます。」


スタローンはがさつに乳を揉むと優しくピザを受け取った
ソファーに戻り冷蔵庫を作るときにでるカスのついた革靴を机の上に投げ出し
テレビをみるとハリーポッターは賢者の石からアズカバンの囚人になっていた
少し不機嫌になりつつもスタローンはピザを食べはじめた
ふとノドの渇きを覚えキッチンに行き冷蔵庫を開けると
チルド室にピザをもってきた金髪の80歳ほどの老婆が入っていた
スタローンははじめは戸惑いつつもコーラを取り出し何事もなかったかのように冷蔵を閉めた

ドンドン!ドンドン!ドアがぶち破られた
突然殴りかかられ顔に黒い布をかぶされどこかへと連れて行かれた
車にのせられ何時間かハイウェイを走っているようだった
もうオレは殺されるのかと思ったとき頭の中でダンシングクイーンが流れていた

黒い布が外された
目を開けると目の前に小柄でメガネをかけた男がいた
周りを見渡すとパンダのタトゥーが入った大柄の男たちがたくさんいた

小メガネ男「君は昨日、パンダのタトゥーの入った男を殺したね」
スタローン「お前はあいつのボスか、何者だ」
小メガネ男「われわれは地球外生命体、いわゆる宇宙人を倒すために作られた秘密結社。フリーパンダソンだ」
スタローン「なんでパンダなんだ?」
小メガネ男「パンダが嫌いなやつはいない。ただそれだけだ」
スタローン「オレを殺すのか?殺すならその前にうちのチルド室にいる老婆を出してやってくれ」
小メガネ男「悪いようにはせんよ。お前フリーパンダソンに入らないか?お前のように躊躇なく人を殺せるやつを探してんだ」
スタローン「時給はいくらだ?」
小メガネ男「週4日労働、1日4時間、基本給50万+歩合でどうだ?」
スタローン「冷蔵庫を作らなくてもいいなら殺しでもやるぜ」

スタローンはフリーパンダソンにはいった
はいったといっても正社員ではなく福利厚生のないパートのような扱いだった

(株)フリーパンダソンは表向きは全国の動物園のパンダの餌を卸す作る会社だが
実態は地球にやってくる宇宙人を殺す暗殺組織だった
宇宙人が地球にやってくる方法はいくつかあるが一番多いのは
宇宙船で大気圏を突き抜けてパラシュートで降下するアナログな方法だった
(8030文字12/2)

今日はスタローンのはじめての仕事だった
本部に連絡が入りスーパーめだかの駐車場に宇宙人が降りてきたという
急いで現場へと向かうとそこには2人の宇宙人がいた

みた感じは人間と同じようだったがよくみると眉毛がつながっている
人間にも眉毛がつながったやつもいるが100万人に1人くらいだろう

スタローン「お前たちはなぜ眉毛がつながっているんだ」
眉毛星人「わたしたちは眉間が急所です。急所を守るために進化した結果です」
スタローン「なるほど。お前たちはなぜ地球にきたんだ?」
眉毛星人「地球にチキンラーメンという美味しい食べ物があると聞いてきました。私たちは地球で言う所の夫婦です。実は妻が眉毛脱毛症になり余命3日と診断されました。最後に妻に美味しいものを食べさせたいと思い地球にきました。」
スタローン「悪い奴じゃなさそうだな。ではチキンラーメンを食べたら帰るのか?」
眉毛星人「はい。すぐに帰ります。」

スタローンはスーパーめだかでチキンラーメンと生卵とガスコンロを買った
駐車場に戻るとチキンラーメンを作りはじめた
しばらくしてフタをあけると勢いよく湯気が上がった
驚いた眉毛星人は攻撃されたと勘違いをしマシンガンで僕を撃ちまくってきた
僕は15発もの弾丸を受けたが持ち前のタフさで一命をとりとめた

誤解だっと気がついた眉毛星人はおでこがエグれるほどの綺麗な土下座をみせた
僕はそれをみて悪い奴じゃないと思い許すことにした
弾丸は急所をはずれていはいたものの少し血が流れ過ぎた
スターバックスのキャラメルマキアートでいうところのベンティー20杯分は出た
僕はスーパーめだかに行くとレバーを買い占めてすぐに生で食ってやった
すこしすると気分がよくなってきた
いつも買う安いレバーではなく高めのレバーを買ったのがよかったのだろう
やっぱり大事なときはケチるもんじゃないな

駐車場に戻ると眉毛星人にチキンラーメンを食べさせてやった
2人は涙を流しながらこんなうまいものを食べたことはないと言って喜んで帰った
人の心を動かすのに高級食材は必要はない
必要なのはただ相手に喜んでもらいという気持ちだけだ
あとで図書館で眉毛星人について調べたら彼らには味覚がないことがわかった

シガニーは今日も学校の校庭に引く白い粉を工場で作っていた
高校を卒業すると大学には行かずすぐに就職をえらんだ
べつに家が貧乏で大学に行けなかったわけではない
ただなんとなくすぐに社会に出たほうがいいと思ったからだ

私の直感はすごくあたる
私は誰が誰を好きなのかすぐにわかってしまう
小学校3年生の頃、警察が犯人とか被害者の写真をボードに貼り付けて
線を引いてこいつがこうでとかやる人物相関図みたいに
黒板に誰が誰を好きかを書いて地理の授業で発表したら全部当たっていた
しかしそれをよく思わなかった給食係の佐々木さんに
体育館の裏に呼び出され手足を銀杏の木に縛り付けられながら
「この魔女め!」と罵声を浴びせながら頭からきな粉をたくさんぶっかけられた
佐々木さん的には魔女というのは罵る言葉だったのかもしれないが
私にとって魔女とは最高の褒め言葉だった

私が学校の校庭に引く白い粉を作る仕事を選んだのも
このとき頭からきな粉を被ったことが影響してるのは言うまでもないだろう

シガニーは中学生になると部活動には入らなかった
以外にも運動神経は抜群でトレーニングなしで100mを10秒で走れるポテンシャルを持ってはいたが
人より早く走ることに何の意味も見出せず陸上部には入らなかった

中学2年まで友達は1人もいなかったが中学3年で初めての友達ができた
シガニーも心のどこかではこのままではいけないとなんとなく思っていた
そしてシガニーはついにいつもの帰り道を思い切って変えることにした


中学2年間はできるだけ人と会わずできるだけ暗い道を選んでいた
しかし中学3年からは人が多く明るい道の王道のルートを選択した
これは人類にとっては小さな一歩だったがシガニーにとっては大きな一歩だった

シガニーが王道のルートで帰っていると小さめの公園を見つけた
これといって面白そうな遊具はひとつもない
しいて言えば大きめのダンボールがあるだけだった
シガニーなんとなくダンボールを蹴っ飛ばした
すると中からおじさんが飛び出してきた

おじさん「おいこら!なにやってんだ!」
シガニー「すいません!まさか人がいるとは思いませんでした」
おじさん「アホか?お前中卒か?ダンボールがあったら人が中にいるに決まっとるやろ」
シガニー「すいません、まだ小卒です」
おじさん「小卒なら仕方ないな。まあお茶でも飲んで行くか」

シガニーはダンボールの中へと入っていった
ダンボールの中は思ったよりも暖かった

シガニー「おじさんはいつからここで暮らしてるの?」
おじさん「もうかれこれ10年は経ったろうな」
シガニー「それまではどこで何をしていたの?」
おじさん「サラリーマンだよ。週6日勤務、1日12時間労働、残業代なし。
まあ食ってくのに困らない金はもらえてはいた。でも同僚が40才で過労で死んで気づいたんだよ。いつ死ぬかわかんないから好きなことしようって。」
シガニー「おじさんがしたかったことって何?」
おじさん「色々考えた結果、俺がしたかったことはただボーッとすることだと言うことがわかったんだ」

シガニーはダンボールからでると何かを考えながら家に帰った
家に帰るとすぐに制服を脱ぎ全裸になってただボーッとしてみた
おじさんの気持ちが少しわかったような気がした

お父さんもお母さんも先生も塾講師もみんな将来の夢は何?
って聞いてくる。実際とくになりたいものなんてない、
でもお父さんとお母さんが悲しまないように夢はポケモンマスターです
と言うことにしているけど私が本当にしたいのただボーッとすることだった

それからわたしの中学3年生はずっとボーッとしていた
中学3年生冬ひさしぶりにあの公園にいってみるとおじさんはいなかった
近所の人に聞いてみたらおじさんは最近よく遊びにくる若い女の子が
パイロットってかっこいいよねと言う言葉を聞いて必死に勉強しパイロットになったらしい
なんかおじさんらしくていいなと思った

ボーっとしているってことは一見無駄なことのように思える
しかしボーッとしていれば何か新しいチャンスに出会うこともできる
あまりに忙しい毎日ではチャンスを見逃してしまうからだ

そんなことを考えながら歩いていると
前からトボトボと下を向きながら歩く小学生がみえた
話を聞いてみると学校で校庭に白線を引く係になって引いてみたけど
粉のでる量の調節を間違いトラックの途中で粉が足りなくなりボコボコにされたという


さらに学校の先生にお前のミスで粉がなくなったんだからお前が粉を自腹で買えと言われ
家に帰ってお父さんに言ったら
お前のミスで粉がなくなったんだからお前が粉を自腹で買えと言われた
可哀想だとおもったシガニーは粉の製造会社である(株)校庭白粉工業製作所へと
電話をして事情を話したところ製造過程で出たB級品の白粉ならタダであげると言われた

わたしは翌日、電車に乗って(株)校庭白粉工業製作所へ白粉をもらいにいった

シガニー「こんにちは昨日電話したものです」
社長「おうきたか、これもっていきなよ」
シガニー「ほんとうにタダでいんですか?」
社長「B級品は商品にならないやつで今までは捨ててたからいんだよ」
シガニー「ありがとうございます!あれ?バイト募集してるんですか?」
社長「おう君うちで働かないか?いま何してるの?」
シガニー「いまはただボーッとしています」
社長「じゃあちょうどいいね。明日か来てよ」
シガニー「よろしくおねがいします!」

こうしてシガニーは(株)校庭白粉工業製作所で働くことになった
社長はシガニーが人生の中でボーッとする時間を大切にしていることを知ってから
週4日労働の1日4時間勤務のパートとして働かせてくれた

働き始めてから20年が過ぎた頃、新卒の子が面接にくるということで
社長に呼ばれ2人で面接をすることになった

社長「君はなぜうちの会社で働きたいのかね?」
新卒「小学生の頃、白粉がなくて困っていたときある人がここのB級の白粉を無料でもらってきてくれたんです。その恩返しがしたいと思い応募しました」
シガニー「君はあの時の!」
新卒「もしかしてあなたがあの時の!」
社長「そうか!この子があの時の!」

ボブは地球のことを思い出しながら火星を歩いていた
しばらく歩いているとポツンと明かりのついた屋台がみえた
看板をみてみるとそこには火星タピオカと書いてあった
どこでも流行りって一緒なんだなとボブは思った


タピオカ屋「いらっしゃい、何にしますか?」
ボブ「オススメは?」
タピオカ屋「うちは火星タピオカミルクティーだけです。火星タピオカミルクティーはミルクティーに火星で取れた新鮮な土を固めて丸くしたものを入れただけです」
ボブ「じゃあそれ1つ」
タピオカ屋「100テロメアになります」
ボブ「テロメアってなんですか?」
タピオカ屋「テロメアとは私たちの細胞の中にある染色体の端にある部分です。細胞分裂を繰り返すたびに短くなっていきます。テロメアがなくなれば死にます。つまりテロメアとは寿命のようなものです」
ボブ「僕はあと何テロメアあるんですか?」
タピオカ屋「いま30才なので約30万テロメアくらいですね」
ボブ「そんなにあるんなら全然問題ないですね。火星タピオカミルクティー1つください」
タピオカ屋「ありがとうございます」

ボブは火星タピオカミルクティーを飲みながら歩き始めた
やがてボブは火星に来てから進化し食べ物も飲み物も不要な体になったことを思い出し
火星タピオカミルクティーをゴミ箱へと放り投げた

今日は少し歩き過ぎた
持病の外反母趾が悪化したので今日はここで野宿をすることにした
落ちていた大きめの葉っぱを集めて屋根を作り
地球から飛んで来たであろう新聞紙を布団がわりにして眠りについた

朝目がさめるとまたボブは歩き出す
歩きながら昨日見つけた地球の新聞を読んでいた
新聞にはこう書かれていた「地球人999と猫1匹人火星へ到着!」
いまはもうボブしか生きていないことを地球人は知らなかった

しばらくすると大きな村が見えた
ハジメチョロチョロナカパッパ星人は火星には他に誰もいないと言っていた
遠くから村の様子をみていると子供から大人まで約50人ほどは暮らしている
みたところ人間と同じような見た目をしている

子供が1人で村の門から出てきたのでつけていくことにした
子供は土を拾っては何かを探していた
なんか繰り返しているうちにヤッターという大きな声が聞こえた
子供の手をみるとそこにはビックリマンシールがあった
きっと地球から流れて来たゴミだろう
地球のゴミが火星で子供を喜ばせていることは驚きだった

ボブはなんとなく行けそうな気がしたので思い切って子供に話しかけてみることにした

 

ボブ「こんにちわ」
子供「だ、だ、だ、だ、誰?」
ボブ「僕は地球から来たボブ、君の名は?」
子供「僕は13番。」
ボブ「そうか13番。君たちはいつからここにいるんだ?」
13番「僕らはいろんな星から集められた犯罪者だよ。この刑務所の名前はキャットリバー火星刑務所だよ」
ボブ「13番きみは何をやったんだ?」
13番「実は僕の兄が12のときにガレージで作った星を爆発させる超新星爆弾つくって土星を爆破させたんだ。でも兄はすべて僕のせいにして僕が捕まったんだ」
ボブ「じゃあ冤罪じゃないか。刑期はどのくらいなの?」
13番「土星にいた50億人を殺した罪で懲役50億年だって」
ボブ「よし僕が出してやろう」
13番「無理だよここは銀河最強の刑務所だよ」

ボブは歩きながら13番を助ける方法を考えていた
ボブは割とパソコンには強い方でキャットリバーをハッキングし設計図を手に入れた
しかし東京ドーム10個分もあるキャットリバーの設計図をすべて頭の中に入れるのは不可能だった
 
色々考えた結果、髪の毛を100mほど伸ばし床に広げ設計図を書くことにした
普段は渦巻き状にして頭の上に乗っけているので誰も設計図だと気づくことはない
(12931文字12/3)

 
とはいうもののボブの今の髪型は黒髪の角刈り
100m伸ばすまでかなりの時間がかかってしまう
髪の毛は1ヶ月に約1cm伸びると言われている
1年で12cm、10年で120cm、100年で12m、1000年で120m
さすがに1000年は待てないということでエクステをすることにした

ボブはハジメチョロチョロナカパッパ星人の村にある美容室へと向かった

美容室「今日はどうする?ちょっと重たい感じだから軽くシャギーいれて毛先を遊ばせてみる?」
ボブ「いやエクステで髪を100m伸ばしたいです」
美容室「100mだと25万テロメアだけどほんとにいいの?」
ボブ「たしかあと大体30万テロメアあるんでお願いします」

テロメアは火星タピオカミルクティーのくだりで説明したが
テロメアは寿命の源であり失くなれば死ぬ
しかし誰かからもらうことでテロメアを増やすこともできる
ということで火星では地球でいうお金の代わりにテロメアが使われている

美容室「セットしちゃっていいかな?」
ボブ「いやワックスがちがちにつけられて髪を立たされるの嫌なんで結構です」

ボブはすぐに家に帰ると早速、髪に設計図を書こうと思った
しかしボブは書くものを持っていなかった
文房具屋にいって書くものを買おうかとも思ったが
美容室でテロメアを使いすぎたのでやめることにした

突然ボブは勢いよく左手首を噛み切った
すると透き通った赤い血が流れ出てきた
その血をペットボトルにいれインクが完成した

次は筆を作りはじめた
エクステで伸びた髪の先端を少し切ってそれをしばって筆にした

これで準備が整った
ボブは一睡もせず148時間ぶっとうしで設計図を書き上げた
描き終わるとボブは死んだ魚のようにぐっすりと眠りに落ちた

ボブの計画はこうだった
どこかで凶悪犯罪を犯しキャットリバー刑務所に収監され
髪に書いた設計図をつかって13番と一緒に脱出する

つまりまずは凶悪犯罪を犯す必要があった
ボブは地球から乗ってきた宇宙船に目をつけた
宇宙船を調べたところ中に1人用の小型の宇宙船をみつけた

これで別の星に行って凶悪犯罪を犯そう
火星からあたりを見渡すと北のほうにドス黒い赤い星がある
みるからに邪悪な感じがしてその星に行くことにした

ボブはドス黒い赤い星に着陸した
着陸すると小型宇宙船がみつからないように
下に落ちていた使用済みホッカイロの粉をかけて隠しておいた

3kmほど歩いていると大きな城が見えた
周りには城を守る兵隊が1000人はいる
ボブは兵隊の1人を首を後ろから締め上げ殺した
兵隊の装備を外し自分に装着すると城に忍び込んだ

すると突然、城の門が開いた
中から豚に乗った王様らしきものがでてきた
王様は何もいわずひざまづく兵隊達をムチで叩いて行く

ボブ「おい、あいつら一体どんな罪を犯したんだ」
兵隊A「なんだお前新入りか。あいつらは何もやっていないよ」
ボブ「じゃあなんでムチで叩かれなければならないんだよ」
兵隊A「そんなの楽しいからに決まってるじゃないか。王様の娯楽だよ」
ボブ「許せないな。俺が王様をぶっ殺してやるよ」

ボブは王様の前に飛び出すとムチを取り上げ王様の首を締め上げ殺した
すると周りの兵隊たちに手足を持たれ殺されるとおもったら
気がつくとボブは胴上げをされ兵隊たちはボブを英雄として扱った

 
その後、ボブはこの星の王様になることになった
ちなみにこの星の名前はユーズドホッカイロ星という名前だった

ボブが王様になると毎日がパーティーだった
元王様がいなくなりハメを外した兵隊達が踊り狂っていた
なかには薬に手を出す兵隊たちもいてボブはついにキレた

ボブは小型宇宙船に戻るとユーズドホッカイロ星から離脱し星破壊光線を発射した
大きな音とともにユーズドホッカイロ星は消滅した

すると向こうの方からギャビン!ギャビン!という音ともに銀河警察がやってきた
ボブは惑星破壊罪で現行犯逮捕された
ここまではボブの計画通りだったが予期せぬ自体が起こった

ユーズドホッカイロ星には1000人しかいなかったため
ボブは銀河一の凶悪犯罪者が収監されるキャットリバー刑務所ではなく
まあまあの凶悪犯罪者が収監されるラットリバー刑務所に収監された

ラットリバー刑務所につくと2部屋に入れられた

マイク「よお新入り。今日からよろしくな」
ボブ「よろしく」
マイク「お前なにやったんだよ。ちなみに俺は3人も人を殺してやったぜ」
ボブ「僕はユーズドホッカイロ星を消滅させたんだ」
マイク「まじかよ。お前すげーな。兄貴って呼ばしてくれよ」
ボブ「まあ好きに呼んでくれよ」
マイク「おう兄貴。それよりもあいつには気をつけろよ、正面の房にいるシザーパンズ、あいつは兄貴みたいに長い髪をみると切ってくるからな」

午後になると運動場で運動をする時間を与えられる
ボブはマイクと運動場にでてベンチに座っていた

シザー「おい新入り。お前その髪切らせろよ。俺は美容師を30年やっていたが、ずっと見習いで最後までシャンプーしかやらせてもらえなかった。ある日ブチギレて髪を切らせてくれないオーナーをハサミで切り刻んでやったんだ」
ボブ「この髪は誰にも切らさない」
シザー「お前らこいつの体を抑えろ」
ボブ「この髪にはキャットリバー刑務所の設計図がかかれいている。本当はキャットリバーに入って仲間を救うはずだったがラットリバーにきてしまったんだ」
シザー「お前面白いやつだな気に入った。俺が所長に頼んでキャットリバーにうつしてうやるよ」
(15146文字12/4)

こうしてボブは無事にキャットリバー刑務所へと入ることができた
到着するとすぐに裸にされ肛門になにかを隠していないかチェックされ
消防車からでるキンキンに冷えた水をかけられ房へと連れて行かれた

 

13番「おい!ボブか!嘘だろ!なんでお前がいるんだ」
ボブ「ここから出してやるからまってろよ」

ランチの時間になるとボブは食堂で並んだ
今日のメニューはチーズフォンデュらしい
ボブの番になり皿を取ろうとすると大柄な男が横取りしてきた
「俺のモノは俺のモノ、お前のものは俺のモノ」そう言って去っていった
まあ僕はもう飯を食わなくても生きていける体に進化したから平気だった

椅子に座ると13番が小走りでやってきた

13番「どういうことだよ」
ボブ「俺の頭をみろ。この髪にはここの設計図がすべて書いてある。脱獄するプランはもう考えてあるからお前は目立たないようにしていろ」
13番「お前なんで俺のためにそこまで・・・」
ボブ「なんか似てるんだよ」
13番「もしかしてお前の弟とかか?」
ボブ「いや、俺の友達の友達のいとこの彼氏の腹違いの弟にな」
13番「・・・・そっか。まあ助けてくれるならなんでもいいや」

ボブ「あと今日から一切何も食べるな」
13番「なんでだ?」
ボブ「お前の体重からしてあと30kg痩せれば房の鉄格子をすり抜けられる」
13番「そんなことしたら死んじゃうよ」
ボツ「人生はいつも死ぬか生きるかだ。」
13番「わかったやるよ」

3ヶ月後、13番はガリガリに痩せ鉄格子を抜けられる体になった
しかしここで思わぬ自体が発生した
13番が病気になったと思った刑務官が所長に報告し2階にある診療所に移されてしまったのだ

ボブは少し計画を変更することにした
(15859文字12/5)

診療所の先生はエリー30才女性独身だった
バーバード大学を卒業すると大手証券会社で働いていたが
ほぼほぼ詐欺の金融商品を売らされ老人たちから老後資金を奪い
泣きつかれる日々に精神的にまいってしまい退職した

その後、人の役に立つ仕事をしたいと医師免許をとり医者になった
初めは泌尿器科で働いていたが毎日、老人のペニスをいじり
1日2回は卑猥な行為をしてくれと泣きつかれる日々に精神的にまいってしまい退職した


その後オンラインゲームで知り合った人に紹介され
キャットリバー刑務所で働くことになった

はじめは男だらけの刑務所で働くなんてやめなさいと家族や友達に反対された
だけど私にとっては詐欺師や老人ペニスと働くよりはずっとマシだった

今日は初出勤の日
いつもより5分ほど早めに起きてシャワーを浴びる
シャワーの温度は少し熱めの42℃
だけど私のうちは築300年のヴィンテージハウス
最初の16分間は水しかでない

隣に住むシンディーは毎日のように大家さんに直せとブチギレている
そんなシンディーをみて私は羨ましかった
私はいままであれほどまでに感情を表に出したことがない
実際のところは、ないというより、どうやって出せばいいのかわからなかった

小さいころから私は感情を表に出さない子だったとママンは言った
しかし私が感情を表に出さなくなったのはあるきっかけがあった

わたしは近所に住む日系アメリカ人のタケシが好きだった
タケシは私が10才の頃、嵐のように引っ越してきた

プップーという大きなクラクションを鳴らしながら一台の軽トラックがやってきた
荷台にはたくさんのカレースパイスとタケシが乗っていた
タケシと目があったとき私は電気クラゲに刺されたような衝撃を覚えた
あとで知ったがこれが一目惚れだということを知った

ママンはよそ者には話しかけちゃダメと言っていたから私からタケシに話しかけることはなかった
だけどある日、家のチャイムがなって外にでると誰もいなかった
何かいい匂いがするなと思って下をみると
透き通ったスープに細いパスタのようなものが入った器がおいてあった
あとで知ったがこれが塩ラーメンということを知った

塩ラーメンをグーグルで調べてみるとどうやら日本の料理らしい
わたしはすぐにピンときた日系アメリカ人のタケシだと
急いで自分の部屋へ運んでいき食べてみることにした
私は衝撃を受けた。こんな美味しい食べ物が地球上に存在しているのかと
この衝撃を感じたのはマクドナルドでハンバーガーとポテトを同時に食べたとき以来だった

私は食べ終わった器を丁寧に洗い
「Delicious!」と手書きのメッセージを添えて玄関に置いておいた
翌日、朝起きると玄関から器が消えていた

それから毎日12:00になるとチャイムがなり
ドアを開けると誰もいず下をみると熱々の塩ラーメンが置いてあった
この生活が4年と3ヶ月続いたある日のことだった

いつもご馳走してもらってばかりの私は何かお礼がしたくなった
だけどわたしは料理なんてしたことがない
ママンに料理を教えてなんていってもママンは料理ができない
私にとってのおふくろの味はマックのチキンフィレオセットだった

そういえば近所に料理教室ができたというチラシがあった
「世界一周食べ歩き放浪したナンシーおばさんの世界料理教室」と書いてあった
これならきっと日本料理も教えてくれるわと私は嬉しくなった
チラシをみてみると10才以下無料と書かれいたので私は行くことした

料理教室のドアをノックすると中からイメージとかけ離れたおばさんが来た
わたしのイメージでナンシーおばさんは身長が低くぽっちゃりでニコニコした感じだった
しかし出てきたのは筋骨隆々、スキンヘッド、肩にネコのタトゥーの入った人だった
(17386文字12/6)

ナンシー「こんにちわお嬢ちゃん?なんのようだい?」
エリー「わたし日本料理を習いたいです」
ナンシー「そうかじゃあ入りな。」
エリー「お邪魔します」
ナンシー「馬鹿野郎!うちは土足じゃねえよ!」
エリー「ごめんなさい。アメリカでは土足が常識なので」
ナンシー「うるせい!お前の常識は他人の常識じゃあないんだよ。だからお前の料理は浅いんだよ。」
エリー「え?でもまだ何も作ってませんよ」
ナンシー「あたしくらいになると作らなくてもわかるんだよ。そんなことよりお前もってきたんだろうな?」
エリー「何をですか?お金ですか?」
ナンシー「馬鹿野郎!料理人に持ってきたかと聞かれたら包丁に決まってるだろ」
エリー「もっていません。まだ10歳なので」
ナンシー「包丁に年齢は関係ないんだよ。じゃあこれをやる。」
エリー「なんですかこのサビだらけの汚い包丁は」
ナンシー「これは私が10歳のころ師匠にもらった包丁。その名も神風だ。」
エリー「こんなの切れないんじゃないですか?ガッ!ガッ!ガッ!」
ナンシー「馬鹿野郎!お前ごぼうを切った後に鰆をさばいたら臭みがでちゃうだろう!この素人が」

エリー「そろそろ料理を教えてもらえますか?わたしも暇じゃないんで」
ナンシー「よしじゃあどんな日本料理を作りたいんだ?」
エリー「やっぱり日本料理といったらスシ、テンプラ、スキヤキですよね」

それからエリーは毎日ナンシーの料理教室へ通うようになった
通い初めて3年がたちようやく満足のいくスシ、テンプラ、スキヤキが作れるようになった

きっと今日も12:00にチャイムがなり塩ラーメンがくる
わたしは思い切って9:00から玄関を監視してタケシくんが来たら
直接スシ、テンプラ、スキヤキを渡そうと思って待っていた

AM11:58
誰かがやってきた
小太りで頭のハゲあがった中年の男性だった
こんなときに郵便がきちゃったよとガッカリしながら私は外にでた
しかし男の手をよくみると熱々の塩ラーメンをもっていた
わたしはあまりに衝撃に声がでなかった


小ハゲ男「はじめましてエリーちゃん。ぼくの塩ラーメン美味しいでしょ。」
エリー「・・・・・・・・・ゲボゲボゲボ」

エリーはあまりの衝撃に嘔吐してしまった
これまで食べてきた塩ラーメンを体からすべて吐き出したい
そんな思いでいっぱいだった

この瞬間から私は感情を失ったのであった

シャワーを浴び終わるとまだ少し濡れた髪のまま窓際に腰かける
ジャケットの胸ポケットからタバコを取り出し火をつける
わたしはタバコを吸いながら向かいにある部屋をのぞくのが日課だった

向かいに住んでいたのは80代の老人だった
少し前までは同い年の奥さんと一緒に暮らしていたが
ダンス教室のコーチに恋をして家を出ていった

夫婦で暮らしていたときは朝5:00になると目覚ましが鳴った
老人は不機嫌そうに枕で耳を塞ぐ
そんな老人をクスッと鼻で笑いながら妻は目覚ましをとめる

ベッドから起き上がるとすぐに神棚へと向かう
手を合わせながらなにやらブツブツと唱えている

「わたしとあなたと友達と親戚、犬のチャップとネコのキャンディーがずっと幸せでいられますように。」と決まって5回唱えて最後にショットグラスでウイスキーをストレートで1杯飲む

バスルームにいくと勢いよく冷水で顔をあらい
しばらく鏡を見つめなにやらブツブツと唱えている

「わたしは綺麗!わたしは美しい!わたしは最高!」
と決まって5回唱えて最後にショットグラスでウイスキーをストレートで1杯飲む

キッチンにいくとヤカンに水をいれ火にかける
水にはこだわりがあるらしく毎日近くを流れる川に汲みにいっている
その川は生活排水が流れる川なので確実に汚い水だ
しかし彼女は「水に綺麗も汚いもない」と言っていた。
おそらくそれは金と勘違いをしているのだろう。

ギャリーバー!ギャリーバー!という音がすると彼女は火を止める
はじめは市販品のピー!ピー!という音だったが老人が絶対音感を持っていて
この音はドレソの不協和音がして気持ち悪いと言って鳴るたびに嘔吐してしまうので
妻がヤカンの穴の部分をニッパーとペンチで色々と改造して言った結果
ギャリーバー!ギャリーバー!に落ち着いた

沸騰したお湯をマグカップに注ぐとすぐにシンクへと捨てた
妻いわく最初の1杯には悪魔が入っているから飲んではいけないらしい
2杯目のお湯をマグカップに注ぐとゆっくりと味わうように飲み干した

結婚して最初の頃は白湯ではなくコーヒーを飲んでいたが
2人とも仕事を引退してからはカフェインで無理やりやる気をだす必要がなくなったため
白湯にすることになった

白湯にしてからは思いのほか体調がよかった
カフェインは摂取すると睡眠を促したり心拍数を落ち着かせたりするアデノシンを抑制しやる気ホルモンのドーパミンも刺激し戦闘態勢の交感神経優位状態になる
しかし過剰摂取したり生まれつきカフェイン耐性が弱いと
自立神経が乱れ不眠になったり精神が不安定になったりする

フライパンを温め卵を割る
たいていは黄身が一個だがまれに2個黄身がでるときがある
そんなときは妻は老人を起こしディープキスする
これは結婚当初からの決まりだった


目玉焼きができると軽くバーナーであぶったトーストに載せる
ベランダにいくと飼っているミツバチの巣からはちみつをいただく
はちみつをスプーンに載せるとベットルームに行き老人の鼻に近づける
老人は無意識にスプーンをつかみハチミツにむしゃぶりつく
するとパッと目が覚めバスルームへと向かう

バスルームにいくと勢いよく冷水で顔をあらい
しばらく鏡を見つめなにやらブツブツと唱えている

「俺はカッコいい!俺はイケメン!俺は最高!」
と決まって5回唱えて最後にショットグラスでウイスキーをストレートで1杯飲む


老人はリビングにくると椅子に腰かけ中国語の新聞を手に取る
老人は中国語はまったくわからなかったがなんかカッコいいと思って毎日読むことにしている
とは言ってもその姿を見るのは妻だけなので今だに妻からカッコいいと思われたいという
老人をわたしは少し可愛いと思ってしまった

妻「あなた今日は中国でどんなことがあったんですか?」
老人「あー今日か、今日はあの不倫だな不倫」
妻「また不倫ですか。昨日もおとといも不倫でしたよね」
老人「まあどこもかしこも不倫だらけだな。世界はな」
妻「でもその新聞の一面の写真はパンダがじゃないですか?」
老人「そうだよ。パンダが不倫したんだよ」
妻「パンダもいろいろ大変なんですね」
老人「そうだな」
(20025文字12/7)

そんな平和な日々が終わったのは汗の滴る暑い夏至の朝だった
老人は目を覚ましいつもの日課をすませリビングのテーブルに座ると
一枚の置き手紙が置いてあった

”Dear  あなた
わたしはもう限界に達しました
じつはわたしも絶対音感をもっています。
あなたが嘔吐してしまうのでピー!を改造しギャリーバー!にしましたが
わたしはギャリーバー!が鳴るたびシンクに嘔吐をしていました
しかしあなたはそれに30年間全く気がつくことがありませんでした
これからはダンス教室のコーチと余生を過ごすことにしました
ダンス教室は2ブロック先のコーヒーショップの2Fにあります
ヒップホップダンス体験無料チケットを同封しておきますので
興味があったら来てください

PS.ネコのキャンディーにチョコを食べさせないでください"

 

老人は驚きを隠せなかった
ネコのキャンディーはてっきりチョコが好きだと思っていた
しかし調べてみるとチョコに含まれているカフェインやテオブロミンが猫にとって有害だとうことがわかった
老人はしばらくゴメンよキャンディーと泣きながら叫んでいた
ひとしきり泣き終わると老人はキャンディーにチョコをあげていた
おそらく老人の脳はもうどこかが壊れてしまっているのだろう

そんな風景を窓から今日も覗き終わると私は着替えて家をでた
キャットリバー刑務所は私の家から歩いて5分の場所にある
はじめはそのまま歩いて言っていたけど同じことの毎日に飽きてきた私は
ふと本屋に立ち寄り「人生を変える10の方法」という本を手にとった
その本の最初に書かれていたのが"いつもと違う道で会社や学校に行く"だった

翌日、わたしはバス停に向かった
バス停につくと時刻表がかいてある
見方がよくわからず目を細めてじっくり眺めていると誰かが話しかけてきた

おじさん「あんた見かけない顔だな!初めてか?」
エリー「そうなんです。バスってなんかブスに近いじゃないですか?だから避けてました」
おじさん「でもあんたどうみたって美人じゃないか」
エリー「あ、わたし全身整形のサイボーグ人間なんです」
おじさん「そうなのか!じゃあ手のひらからクモの糸だせるか?」
エリー「ごめんなさいそれはまだやってないんです」
おじさん「そんなことより、あんたどこに行きたいんだ?」
エリー「キャットリバー刑務所なんだけどグルっと街を一周してから行きたいの」
おじさん「お安い御用だぜ!俺はこのバス停を使って30年のベテラン。俺がコースを組んでやる。もしよければ街を案内しながらガイドだってできるぜ」
エリー「本当に!じゃあお願いするわ」

エリーはおじさんとバスに乗り込んだ
バスは意外と空いていてエリーとおじさんだけの貸切だった
(21134文字12/8)

"次は新世界です。お降りの方はボタンを押してください。"
おじさんは勢いよくボタンを押した


新世界は小さな店1000以上あるたくさんある大きな商店街だった
新世界にないものはないといわれるほど大きな商店街だった


おじさん「お前なんか欲しいものないのか?」
エリー「あるけどおじさんに言ってもわからないよ」
おじさん「いいから言ってみな」
エリー「雪崩からインスピレーションを受けたチャネルの新作アイシャドウ、アヴァランチ。いまOLに人気でどこへいっても売り切れで注文しても35年待ちよ」
おじさん「あるよ」
エリー「え?嘘でしょ?」
おじさん「ついてきな。斎藤のばあさんがやってる斎藤商店にいくぞ」

斎藤商店「おー金ちゃん、ひさしぶりやな。景気はどうだい?」
おじさん「まあぼちぼちやな、ばあさんチャネルの新作ある?」
斎藤商店「あるで、そのコーラとサイダーのあいだにあるやつやろ」
エリー「えー!嘘!本当にある!」
おじさん「斎藤商店は痒いところに手が届く品揃えで有名だからな!よし1つくれや。」
斎藤商店「6000テロメアやな。でも金ちゃんだから5000テロメアにまけてやるわ」
エリー「安い!アヴァランチは定価3万6480テロメアですよ。」
おじさん「あんまり大きな声で言えねーが斎藤のばあさんは新世界のゴッドマザーって呼ばれててな政界、財界、極道を裏で動かしているんだよ。だから定価もクソもねんだだよ」
(21725文字12/9)

 

金ちゃんとエリーはしばらく新世界を食べ歩きしていた

空気屋「おい!金ちゃん!久しぶりやん」
金ちゃん「おう!空気屋の六兵衛か。どうだい景気は?」
空気屋「まあ新世界は見ての通り見渡す限り人だらけの大賑わいや。人がいればそれだけモノも売れる。新世界に不景気なんて言葉はないね」
エリー「金ちゃん空気屋って何を売ってるの?」
金ちゃん「空気屋は文字通り空気を売ってるんだよ。例えばハジメチョロチョロナカパッパ星の空気を閉じ込めたビンとかユーズドホッカイロ星の空気を閉じ込めたビンとかな」
エリー「そんなの誰が買うんですか?」
空気屋「この街には社会からはみ出した奴らが宇宙中から集まってくる。だけどたまには自分の星の空気を吸いたくなったりするもんだ。お前もあるだろ、毎日大好物のラムネを飲んでるとたまにサイダーが飲みたくなること」
エリー「例えが絶望的に下手だね。ラムネとサイダーは同じものだよ。だけど言いたいことはわかるわ」
金ちゃん「エリーお前はどこの星の生まれだ?」
エリー「私はここから3000光年東にあるイトシノエリー星よ」
金ちゃん「イトシノエリー星か!そういえば俺の前の前の元カノがイトシノエリー星だったぞ、名前はエリーだったな」
エリー「それはそうよ。イトシノエリー星はみんな名前がエリーだからね」
金ちゃん「よし六兵衛!イトシノエリー星の空気ビンを一個くれ」
空気屋「毎度あり30万テロメアになりやす!あ、でもこの前、金ちゃんに八頭身星の可愛い子紹介してもらったからタダでいいよ」
金ちゃん「ありがとうな、またよろしく、ほれエリー吸ってみろよ」
エリー「いいの?ありがとう。」

エリーはビンのフタを開けると紙を丸めて筒状の棒をつくり鼻から一気に吸った

エリー「わー!懐かしい!この匂い!小さい頃の記憶が蘇るわ!!!」
金ちゃん「たまにはいいだろうこういうもの、まったく粋な商売しやがるぜ空気屋」

新世界は枠にハメたがる社会からはみ出た人が集まったような街だった
人口は正確には把握できてはいないがだいたい3000人ほどのコミュニティーだった

はるかむかし人間は1人では生きていくことができなかった
そのためみんなで協力して暮らしていくことが必然であり孤独を感じる暇もなかった
しかし現代は文明が進み1人でも生きて行けるようになったことで孤独を感じるようにっなった人が増えたと言う

エリーもその中の1人だった
しかしエリーは新世界に来てから一度も孤独を感じたことがないことに気がついた
わたしはもっと新世界について知りたいと思った

エリー「金ちゃん、わたし新世界に住みたい」
金ちゃん「そう言うと思ったぜ、お前の顔を見てればわかるさ。ほらついたぜ不動産屋」
 不動産屋「いらっしゃい!金ちゃん、あなたがエリーさんね、何軒か用意したからこれから物件を見に行こうか」
金ちゃん「よろしくなガンちゃん!エリーの月収は20万テロメアだから家賃は月5〜10万テロメアでよろしくね」

不動産屋「まずはここ。月10万テロメア、10F建てのビルで8Fでオートロック、1Fはコンビニ。築1年でかなり綺麗で人気の物件だよ。」

エリー「いいですね。でも一応もう一軒みてもいいですか?」


不動産屋「じゃあ次はここね。月5万テロメア、2F建てのアパートの1F角部屋。風呂なしだけど歩いて5分のところに銭湯がある。小さいけど庭もあるから花でも育てられるよ、築20年でみためはちょい汚くて、漫画家とか芸術家とか医者とか色んな変わった人が住んでいるけど若いお嬢さんにはちと合わないだろうな」

エリー「ここです!ここに決めます!」
(23218文字12/10)

エリーは直感でここだと家を決めた
カブトムシかクワガタかを決めるとき
ヒトカゲかゼニガメかフシギソウかを決めるとき
おじいちゃんを延命させるかさせないかを決めるとき
いつだってエリーは何かを選択するとき自分の直感を信じてきた

金ちゃん「よしそうと決まれば引っ越しだな」
不動産屋「うちの軽トラなら貸せるよ」
金ちゃん「サンキュー!じゃあ早速やろうエリー」
エリー「でも私これから刑務所の仕事があるから・・・」
金ちゃん「そんなもんやめちまえ、せっかく新世界に来たんだから新世界で働け」
エリー「それもそうだね。じゃあ私仕事やめるわ」

プルルルル・・・・プルルルル・・・・ガチャ!

刑務所「はいキャットリバー刑務所、事務局の鈴木です」
エリー「あの診療所のエリーですが本日付で仕事をやめさせていただきます」
鈴木「え?エリー先生!そんな急に言われても困りますよ」
エリー「大丈夫です。後任に私の大学時代の後輩のエリーがいきますから」
鈴木「エリーということはもしかしてイトシノエリー星の?」
エリー「はい。イトシノエリー星はみんな名前がエリーで顔も一緒。」
鈴木「つまり今までと全く変わらないということですね!それなら問題ありません。エリー先生いままでご苦労様でした。今月分の給料は日割り計算で月末にお振込させていただきます。」
エリー「おう!よろしくな鈴木!」
鈴木「なんか急に態度が大きくなりましたね。」
エリー「おう!だってもうお前は上司じゃないからな!じゃあな鈴木!」

エリー「金ちゃん仕事辞めたらから引っ越しはじめよう」
金ちゃん「よしじゃあ家に荷物を取りに行くか」

2人は不動産屋で借りた軽トラックに乗って一度、新世界を離れた
エリーはずっと軽トラックの荷台に乗って走ってみたいと思っていたということで
金ちゃんはエリーを荷台に乗っけて走り始めた

エリー「金ちゃん!わたし今生きてるって気がする!」
金ちゃん「そうだろエリー!自分の欲望に忠実に生きるんだ。そしたらたくさん人に迷惑をかけるから、たくさん人に優しくするんだぞ。

エリーの家にアパートにつくと早速2人は荷物を運びはじめた

金ちゃん「まずはいるものといらないものに分けよう。右にいるもの。左にいらないもの。」
エリー「こうやってみるといるものって意外と少ないね。ほとんどが、あったらいいけどなくてもいいものばっか」
金ちゃん「人間は年を取れば取るほど必要なモノが減っていくんだよ。若い頃は何もない自分に価値を感じることができず高級ブランド品やアクセサリーをたくさん買って自分を大きく見せたりするもんだ。だけど大人になって人生は他人と比べ競争するのではなく今の自分と理想の自分と比べ、より理想の自分に近づこうと努力することが大事だとわかってからそういうものはいらなくなるんだ。」
エリー「確かに若い頃は友達よりいいバッグをとか友達よりいい男を手に入れることしか考えてなかったわ」

金ちゃん「友達もそうだ。小さい頃は友達100人できるかななんて歌を歌ってもっともっと友達を増やそうとするけど、人間は脳の容量の関係で顔見知りは150人まで親友は3人くらいまでしか維持できないようになっている。だから友達をたくさん作ろうするよりも大事な1人の友達ともっと深く付き合うことに時間を使ったほうがいい。だから年を取れば取るほど友達も減って行くもんさ」
エリー「確かに20代の頃は毎日クラブ行って1日10人くらいLINE交換して登録が6000人くらいあったけどもう誰が誰かわかんないし全員とLINEしてると1人1人と深く付き合うことができなくて結局、全員顔見知りの友達だけで親友と呼べる人はいなかったな」
金ちゃん「だったらこれから新世界で作ればいい」
エリー「そうだね金ちゃん」

ピンポーン
???「あのー?引っ越しですか?隣に住んでるアザーですが・・」
エリー「あ、アザーさんこんにちわ。どうしたんですか?」
アザー「実は僕、エリーさんが引っ越して来た初日、ウチに、にんにくチューブを借りに来たときからずっと好きでした!付き合ってください」
エリー「え?そうだったの。でもごめんさい。わたし新世界にいくの。
それに私とあなたの関係はにんにくチューブだけの割り切りの関係でしょ。」
アザー「そんな!じゃあ僕はただのニフレだったってことですか!」
エリー「そうね私とあなたはただのにんにくチューブフレンド、ニフレよ」
アザー「わかりました・・・。じゃあ・・・・」
エリー「じゃあ元気でね。あなたのにんにくチューブ美味しかったわ。」
(25076文字12/11)

ようやくエリーと金ちゃんは荷物を軽トラックに積み終わった

金ちゃん「エリー荷物はこれだけか?」
エリー「そうね。色々考えたけど結局必要なものは、この2mの木彫りの仏像だけだったわ。他のものは触ったときにトキめかなかったけどこれだけはトキめいたの」
金ちゃん「人生に大切なのはトキめきとひらめきって昔から言うからな」

2人は新しいアパートへと向かった

金ちゃん「この仏像はどこにおく?」
エリー「あ、それはリビングの真ん中に置いて」
金ちゃん「いまのところこの部屋には仏像しかないけどベッドとかどうするんだ?」
エリー「わたしむかしから硬い床で寝る派だから大丈夫。やらかいベットで寝ると蕁麻疹がでちゃうのよ」
金ちゃん「そうだ俺はもう帰るけどアパートのお隣さんに挨拶しとけよ」
エリー「うんわかった!」

このアパートは101、102、103、201、202、203の6部屋
エリーが住むのは103である

ピンポーン
101「ガチャ!うるせい!俺は新聞を読まねえっていってんだろ!バタン」
エリー「あ、あの103に引っ越して来たものですが・・・・」
101「ガチャ!あっ、すいません。103の方ですか。最近、1時間おきに新聞屋が営業にくるのでまた新聞屋かと思って」
エリー「そんなに頻繁にくるんですか?」
101「えーどういうわけか私の家だけくるんですよね」
エリー「あ、それたぶんこれのせいだと思います。ポストに"新聞とります!"って言うステッカーが貼ってあるからですよ。」
101「あーだからか。これこの前、公園で拾ったんですよ。ウチのポスト、前に住んでいた人の名前が油性マジックで書いてあって拭いても落ちなかったんでそのステッカーで隠したのですがまさかそれが原因とはね。ありがとう」
エリー「いえいえ、ところでお名前はなんて言うんですか?」
新聞取男「あ、わたし新聞取男です。」
エリー「あ、だからか。」

新聞取男「せっかくなんでお茶でもどうですか?さっき作ったばかりのカレーがあるんですよ。」
エリー「あでも私カレーは苦手なんです。」
新聞取男「へ?この宇宙にカレーが苦手な人がいるんですか?じゃあ麺から手打ちで作った水深3000mオーバー深海魚のペスカトーレはどうですか?」
エリー「それは気になります」
新聞取男「よしじゃあちょっとリビングで待っててください」
エリー「新聞さんってお仕事なにをしてるんですか?」
新聞「わたしは型抜き屋だよ」
エリー「型抜きってむかしよくお祭りにあったやつですか?」
新聞「そうだよ。40才までサラリーマンやってたんだけど、ある日、いつものように会社に向かって歩いていたら前を歩いている40才くらいのサラリーマンが突然マンホールの穴に落ちて死んじゃったんだ。俺はその日に会社をやめた。なんとなく定年までサラリーマンやって定年になったら好きなことでもやろうと思っていたけど俺も今日死ぬかもしれないと思ったら時間の無駄だと思ったんだ。やめてからふと俺は何がやりたいのかと考えていたら子供の頃、型抜きが好きだったことを思い出した。しばらくは家で1人でひたすら削る毎日だったんだけどだんだん周りの人たちもやりたいと言い出したので路上で型抜き屋をはじめたんだ。まあ収入はサラリーマンのとき10分の1くらいになったし売り上げが少ないときはバイトをしてる。だけど楽しそうに型抜いてるお客さんをみてると楽しくてさ。」
(26479文字12/12)